KM 文書庫(演劇、音楽、文学)

演劇、音楽、文学、フランス語、ラテン語に関わるテキストを公開します。

【10/17(木)】ウーク・チョング講演会『レイシズムとアイデンティティ』

Ook Chung Conférence

ウーク・チョング(作家)

Ook Chung 講演会

レイシズムとアイデンティティ:私がカナダ・ケベック社会に負っているもの

Racisme et identité: Ce que je dois au Québec 

司会・通訳  立花英裕(早稲田大学)

主催 : 早稲田大学テーマ・カレッジ「越境する想像力」,日本フランス語圏文学研究会
後援 :  日本ケベック学会,ケベック州政府在日事務所

 ウーク・チョングはアジア系のディアスポラ作家である.1963年,横浜・中華街で在日の家庭に生を受け,2歳でカナダ・ ケベック州モントリオールに移住している.ウーク・チョングは思春期の頃から,ケベック,韓国,日本の間で,アイデンティティをどこに差し向ければよいの か分からず彷徨してきた.現実のアジアは遠く,彼の二重のアジア的属性もどこまで実質があるのか心もとなかった.そんな,遠い雲をつかむような空間,とり わけ日本について書くことでウーク・チョングは作家になっていく.

 ただ,在日の母,韓国から追われた父をもつ彼は,自らの背後には数世代にわたる物語が控えていることも忘れない.時空の迷路の中で,ウーク・チョ ングは20世紀の韓国と日本を結び,それをケベックへと延長させる歴史意識を育んでいく.その流麗で悲壮感に溢れ,且つおどけた文体は,彼の特異なディア スポラ精神の産物である.2001年に発表された『キムチ』は,大阪を舞台とした自伝的色彩の強い作品だが,畢生の大作『韓国三部作』( 2012年)に,その中核をなす部分として再録されている.本講演においてウーク・チョングは,『韓国三部作』に語られた変転の人生と東洋(日本,韓国) への愛を取り上げつつ,現代のレイシズムの問題へと踏み込んでいくだろう.

入場無料

【日時】2013年10月17日(木)午後4時30分より

【会場】早稲田大学 早稲田キャンパス10号館107教室

【連絡先】立花英裕 grillonbleu@aol.com 


【参考文献】
◆ウーク・チャング『キムチ』(青土社,2007年)(著者表記は本講演会で採用されたものと異なります)
◆ウーク・チョング「ケベックと日本 と韓国を掛け合わせた時空」(インタヴュー),日本ケベック学会日ケ交流40周年記念事業編集委員会『遠くて近いケベック : 日ケ40年の対話とその未来』(御茶の水書房,2013年)所収 pp.98-102.